国内では、週末24日に日本銀行総裁の後任として政府から指名されている植田和男氏の国会での所信聴取が予定されている。当日の寄り付き前には1月全国消費者物価指数も発表される。結果が予想を上回ると、所信聴取の前に思惑から為替が円高に動く可能性もあり、日本株の動きを左右する可能性あろう。
需給面では、日本取引所グループが公表する投資部門別売買動向によると、海外投資家の買い越しが根強く見られる一方、年金基金の動向を反映する信託銀行の売り越しが長期化しており、上値では逆張り志向の個人投資家による売り越しも見られる。特に、個人投資家については、10日時点の信用取引の売り残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)が6週連続で増加しているほか、日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(ETF)<1357>の純資産総額の積み上がりなどから、売り目線が増えている様子。こうした背景から、日経平均は27500円台後半、東証株価指数(TOPIX)は2000pt手前での上値の重さが続いている。FRBの早期利上げ停止期待が後退し、決算発表の一巡で個別物色のエネルギーも後退する中、手掛かり材料難で今後も同様の冴えない展開が続きそうだ。
米国では今週、小売りのウォルマートや半導体のエヌビディアの決算が予定されている。根強いインフレの要因にもなっている米個人消費の堅調さを背景に、ウォルマートはしっかりとした決算が予想される。節約志向の高まりで購買対象が生活必需品へ集中するなか、粗利益率の悪化傾向は続きそうだが、在庫調整の進展などが確認されれば好感されそうだ。また、昨年に厳しい株価下落に見舞われた半導体株は、今年後半からの市況回復を見越して今年は堅調な株価推移が続いている。半導体銘柄の中でも特に成長性が高く影響力の大きいエヌビディアの決算であく抜け感が強まれば、指数寄与度の大きい関連銘柄の一段の上昇につながりそうで、相場の下支え役として期待したい。
なお、今週は21日に米ウォルマート、ホームデポの決算、22日に1月企業サービス価格指数、FOMC議事録、エヌビディアの決算、24日に1月全国消費者物価指数、などが予定されている。