4月に任期満了となる黒田東彦・日銀総裁(78)の後任として、政府は植田和男・東京大学名誉教授(71)を起用する人事案を国会に提示した。
「マクロ経済学や金融論が専門の植田氏は、日本を代表する経済学者。1998~2005年に日銀の審議委員を務めたこともあるが、日銀総裁は財務省出身者か日銀プロパーという慣例があるので、戦後初の学者起用に驚きが広がっています」(大手紙記者)
起用の経緯は様々に報じられ、自民党幹部周辺の見方として〈植田氏を(岸田文雄)首相に提案したのは黒田氏では〉との証言を報じたものもある(時事通信、2月13日付)。
異次元の金融緩和を続ける黒田氏は東大法学部卒業後に財務省で財務官まで務め、アジア開発銀行総裁などを経て2013年に日銀総裁となった。一方の植田氏は東大理学部を卒業後、経済学部に学士入学した経歴の持ち主。以降、学者としてキャリアを積み重ねてきた。
2人の経歴で重なるのが東京教育大学附属駒場高校(現・筑波大附属駒場高校)のOBという点だ。「教駒」「筑駒」と称される同校は1学年160人のうち毎年100人近くが東大に合格する名門校。植田氏と同期の教駒18期OBで国際大学副学長の橘川武郎氏はこう話す。
「私は中学から教駒で、彼は高校から入ってきたのですが、3年間ずっと成績トップだったという記憶です。あと、毎年冬のマラソン大会で全学年トップだったことも印象に残っていますね」
植田氏が“神童のなかの神童”であったとする証言だ。橘川氏が続ける。
「東大大学院の経済学研究科で彼と私を含め教駒の同期3人が同時に教授だったこともあるが、私がダントツの落ちこぼれ(笑)。たまたま教駒OBの黒田さんの後任になるが、彼なら実力からして相応しいのではないか」