やりたいことがなかなか思い浮かばない人は、ひとまず「自分史シート」を書いてみてほしいのです。実は、そのなかに将来やりたいことのヒントがあることが少なくありません。自分の歩んできた道を丹念に綴っていくと、死ぬまでに自分が何をしたいのか、何をやり残していると考えているのかが、だんだん浮き彫りになってきます。
いきなり完璧なものを作成しようとするとうまくいきません。思いついた時にでも少しずつ書き足していきましょう。書式などにもこだわらず、ノートや手帳に記録したり、単なるメモに残したり、巻末の見本をコピーして使ったりしても良い。一度、書いたことでも、見直しているうちに、すぐに実行できそうだと思い直したことがあれば、元気なうちにどんどん実行していくべきだとも思います。
【プロフィール】
楠木新(くすのき・あらた)/1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長などを経験する。在職中から取材・執筆活動に取り組み、多数の著書を出版。2015年定年退職。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授。現在は、新たな生き方や働き方の取材を続けながら、執筆や講演などに励む。著書に25万部超の『定年後』ほか多数。
※楠木新・著『75歳からの生き方ノート』(小学館)より抜粋して再構成