投資情報会社・フィスコが、株式市場の2月20日~2月24日の動きを振り返りつつ、2月27日~3月3日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で59.65円安(-0.22%)と続落。一方、週足のローソク足は3週連続で陰線を形成したが、引き続き26週、52週、13週の各移動平均線の上方を維持した。
先週の日経平均は一進一退となった。週末に控えるイベントを前に週前半は27500円近辺での小動きが続いた。一方、国内祝日前の22日は368.78円安と大きく下落。米2月サービス業購買担当者景気指数(PMI)が予想以上に改善したことで利上げ長期化観測が強まり、年初来の水準まで上昇した米10年債利回りがリスク回避の売りを誘発した。一方、祝日明けの週末は349.16円高と大きく反発。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を概ね無難に消化し、米長期金利の上昇が一服したことに加え、米半導体エヌビディアの好決算が投資家心理を改善させた。また、衆議院で行われた次期日本銀行総裁候補の植田和男氏の所信聴取の内容が総じて金融緩和の修正に慎重なものになったことも安心感を誘ったようだ。
今週の東京株式市場は一進一退か。警戒されていた米長期金利の上昇については一服感が見られ、目先の安心感につながっている。国内でも、注目されていた次期日本銀行総裁候補の植田和男氏への所信聴取を無難に消化した。衆議院で行われた所信聴取において、植田氏は現在行っている金融政策は適切とした。また、現在の消費者物価上昇率の高さについては主に輸入物価上昇によるコストプッシュ型であり、2%の物価目標を持続的・安定的に達成するにはまだ時間がかかるとの見解を示した。その上で金融緩和を継続することで企業が賃上げできる環境を整えるべきと述べており、総じて安心感のある内容となった。
一方、経済指標の上振れが続く中、米連邦準備制度理事会(FRB)高官からはタカ派な発言が相次いでおり、利上げ停止時期やターミナルレート(政策金利の最終到達点)を巡る議論には再び不透明感がくすぶっている。米金利が再び騰勢を強める可能性もあり、警戒感は残る。国内の金融政策の修正についても、イールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃は時間の問題と捉える投資家が根強く、為替の円安が一段と進展する可能性は高くない。実際、植田氏の所信聴取の後もドル円の水準に大きな変化はない。金利先高観がくすぶり、為替の円安という支援要因にも一服感が出てきている中、日本株の上値は重い状況が続きそうだ。