そもそも「この特例を使うかも熟慮が必要」と指摘するのは行政書士で相続・終活コンサルタントの明石久美氏だ。
「手元に現金が多くあるわけではないのに、相続税対策として子に贈与したがる親御さんが少なくありません。今後、寝たきりになるなどして老後資金が足りなくなるリスクだってある。“子供に渡したお金は返ってこない可能性がある”と理解する必要があります」
親が一度に大きな額を贈与すれば、生涯にわたって子供から大切にしてもらえるような気がするが、そうでもないのだ。
「実は、子や孫が実家に顔を出すたびに必要なだけのお金を渡すほうがありがたがられる傾向があります。しかも、孫の教育費などは必要な額を都度渡して振り込んだ記録などを残しておけば、扶養義務の範囲で非課税になります」(木下氏)
手元にある程度の資金を残しておくという発想も重要なのだ。
※週刊ポスト2023年3月10・17日号