東日本大震災から12年。今年1月にはJR京都線などで大雪によって約10時間車内に閉じ込められるというトラブルもあった。我が身を守るには、予期せず起きる災害への備えは不可欠。では、防災の専門家はどのようなものを持ち歩いているのか。そして、防災食についてどう考えているのか。
防災食の研究に力を注ぎ、全国で講演を行う今泉マユ子さん。毎日持ち歩く防災ポーチには、ヘッドライトや笛などの基本アイテムに加え、あるモノが。
「親戚15人の連絡先を縮小コピーした紙、家族の写真や手帳などです。私はアナログ派で、たとえば取材先の住所をメールでいただいたときは、必ずプリントアウトするんです。スマホの置き忘れという非常事態に役立ちました」(今泉さん・以下同)
さらに、周囲の騒音が気になるときの耳栓、寒さに弱いので体を温めるカイロも常備。不意の災害で足止めを余儀なくされたとき、自分の弱点を補うアイテムを備えておけば、精神的にも落ち着きそうだ。
ふだんの食事を少し多めに購入し防災食に
災害食の専門家である今泉さんは、在宅避難で活躍する防災食の備え方や消費の仕方を次のように語る。
「よく『防災食は何食分備蓄したらいいでしょう?』と聞かれるのですが、そもそも “備蓄用”と“食べる用”に分けてしまうのが問題だと思っています。食べたら備える『ローリングストック』が推奨されていますが、大事なのは消費すること。それを習慣化しないと、本当のローリングストックになりません。きちんと整理する人ほど、入れ替えたくなくなるんですよね。
私は、ふだん食べるものを少し多めに買い、それを防災食にも活用する『フェーズフリー』という考え方を実践しており、何食分かを計算したことはありません」