ルームシェアは家賃を折半できるメリットがあるものの、同居人同士でトラブルになることも少なくない。関係が悪化した際、同居人を立ち退きさせることはできるのか、弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
ルームシェア中の同居人が、半年間も家賃の半分を払ってくれません。なので、同居人の荷物をベランダに放り投げてやりました。すると、同居人が勝手に他人の持ち物を捨てるのは法律違反だから、私を訴えると息巻いています。そんなことより、どうすれば家賃の半分を払わない同居人を追い出せますか。
【回答】
大家と賃貸借契約を交わしているのが【1】質問者、【2】2人の連名、【3】同居人の場合で違います。
【1】の場合、同居者に対する建物の一部の又貸し(転貸)ですから、あなたは転貸契約に基づき、貸主として権利義務があります。転貸契約で家賃等折半の約定があれば、その不払いを理由に転貸契約を解除し、同居人の立ち退きを求めることができます。
【2】の場合、大家は2人に建物使用を認めているので、同居人が建物を使用する権利は大家の承諾に基づいており、家賃は2人が共同して全額を支払う債務です。同居人と家賃等を折半する約束は、内部的な合意で大家との契約関係には影響しません。同居人が家賃等の半分を負担しないからといって、追い出せません。2人の関係は、共同して借家することを目的とする一種の組合契約と思われ、同居人が義務を果たさないのなら、あなたは組合関係の解消を請求し、過去の不払い分の清算を求めることができますが、それだけでは大家との賃貸借契約を終わらせることも、あなた単独の契約に移行することもできません。大家を交えて話し合う必要があります。
【3】の場合、あなたは同居人が契約している借家を利用しているので、同居人の立ち退きを要求できません。なお、【1】、【3】の場合は大家の承諾がないと無断転貸になり、根本の賃貸借契約自体を解除される恐れがあります。