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「年金半減で済めばまだまし」の声も 異次元のスピードで進む日本の少子化が年金制度を崩壊させる

“異次元”の少子化が年金制度にどんな影響を与えるのか(写真:イメージマート)

“異次元”の少子化が年金制度にどんな影響を与えるのか(写真:イメージマート)

 まるでそれさえアピールしていれば支持率が上がると言わんばかりに「異次元の少子化対策」と繰り返す岸田文雄・首相。「わが国の社会経済の存立基盤を揺るがす、待ったなしの課題だ」と息巻くが、行き当たりばったりの選挙対策で私たちの社会保障を脅かそうとしている。

 日本の少子化は“異次元”のスピードで進んでいる。生まれる子どもの数(出生数)は年々減り続け、昨年は統計開始以来最低の80万人を割った。2016年に100万人を割ってからわずか6年で20万人減、このままのペースで減っていけば、恐ろしい未来が待っている。

「6月までに子ども子育て予算倍増の大枠を示したい」。少子化対策の叩き台発表後、岸田首相はぶら下がり会見でそう語った。

 少子化がもたらす社会は年金生活者や中高年層にとって一層深刻だ。

 衝撃的なレポートがある。ニッセイ基礎研究所が3月16日にリリースした『出生数80万人割れで年金はどうなる?』と題するレポートでは、厚労省の年金の将来見通し(2019年財政検証)をもとに少子化が年金水準に及ぼす影響を試算し、〈経済が低迷して出生率が推計時点の東京並み(編集部注=1.25)に下がれば、-5~3割強の低下となる見通し〉と指摘した。

 同レポートの資料をもとに、ケースごとに具体的に将来の年金額がいくらになるかを計算した。

 現在の厚労省の標準モデルの年金額は「夫の厚生年金15.5万円、妻の国民年金6.5万円」で夫婦合わせて月額22万円とされている。

 これが、経済が横ばいで出生率が低位で進むケースでは、「夫の厚生年金8.58万円、妻の国民年金2.86万円」の夫婦合計11万300円まで下がる。「年金半減」である。

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