相続には亡くなった人の出生から死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本が必要となる。相続手続きが複数ある場合、書類の出し直しの時間と手間がかかるが、その手続きの負担を減らすために2017年にスタートしたのが「法定相続情報証明制度」だ。
この制度は、法務局(登記所)に戸籍謄本等の束と相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、その一覧図に認証文を付した写しを無料で何通でも交付してもらえるというもの。手続きが同時に進められるため、時間の短縮ができる。
法定相続情報一覧図作成のためには、親が元気なうちにすべての戸籍について聞いた方がいい。相続手続きを楽にするためには、戸籍に加え、お金関連の情報も聞いておきたい。
親の資産はリストアップを
相続税は通常、被相続人の死亡の日の翌日から10か月以内に申告・納付する必要がある。この短期間にすべきことは山積みだ。法定相続情報一覧図があれば、手続きの時間を短縮できるが、親しか知らない金融資産の情報を一から調べなくてはいけないとなると、結局時間と手間がかかってしまう。
「相続手続きをスムーズに進めるにはまず、親の生前に資産のリストアップをしておきましょう。相続税が発生するだけの資産があるかどうかだけでも調べておくと、死後の手続きが楽になります」
とは、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんだ。