生活費や光熱費の物価高騰が家計を圧迫し、実質的に受け取れる年金は目減りする一方だ。「毎月、年金にプラス数万円の収入があれば……」といった声は少なくない。実は、やり方次第で定年後に月10万円収入を増やすことも不可能ではないという。
まず仕事を探す前にやっておきたい準備が「家族への相談」だ(図参照)。シニアライフコンサルタントの金澤美冬氏が指摘する。
「定年を迎える前に家族、特に妻と今後について話し合うことが望ましい。定年後の仕事は継続雇用や再雇用、転職、個人事業主になるなど様々な選択肢があります。自分がどういう働き方を希望するのか家族と話し合い、合意を得ておくといいでしょう」
特に注意が必要なのは個人事業主を目指すケースだという。
「継続雇用や再就職などで会社勤めを続ける場合とは異なり、個人事業主は収入が不安定になります。夫が“退職金を注ぎ込んでそば屋を開きたい”といった、妻からすると突拍子もないことを言い出して不和につながるケースは少なくありません。個人事業主を志すなら、早いうちから家族に意向を伝えておくことが大切です」(金澤氏)
続いて「老後に必要なお金の計算」をする。年金暮らしでの毎月の収支を現在の支出をもとに試算してみる。
「老後資金2000万円不足問題が話題になりましたが、収入や支出は家庭によって異なるので、みんなが2000万円不足するわけではありません。個別に毎月いくら必要かを試算し、そのためにはどういう働き方をしたらいいのかを逆算して考える。月に3万円不足するならその分を稼ぐ、それ以上に余裕が欲しいなど、目標金額の目安にもなります」(金澤氏)
苦手な仕事は辞めていい
また、不足分だけでなく無駄な出費を見つけて支出をスリム化する。
「例えば、住宅ローンの残債やマンション管理費などが負担になるなら、家賃が安い物件に引っ越すなどの選択肢が見えてきます。引っ越しで住居費を数万円減らせるなら、副業で目指す目標額も変わってきます」(金澤氏)