空いた時間を使って“副業”をやって、少しでもお金を増やしたいと思う人も多いだろう。しかし、お金を稼ぐのは簡単ではない。まるで苦行のような副業があるのだ。コロナ禍でパートが時短勤務になったAさん(45才女性)は簡単なおもちゃの組み立てやシール貼りなどを行う内職を始めた。
「空き時間を利用してマイペースでできると聞いていたのに実際は納期が厳しく、徹夜は当たり前。夫や小学生の子供も動員したうえに、本職のパートを休んだほど。必死の思いで3か月続けましたが、収入を時給に換算したらたった130円。骨折り損のくたびれ儲けとはこのことだと実感しました」(Aさん)
Hさん(55才女性)は教育費捻出のため休日に日雇い派遣の仕事を始めた。
「倉庫でリストを見て商品をカートに入れる仕事がメインですが、ジュースや調味料が詰まった重い段ボールを運ぶことが多く、ある日ギックリ腰に。50才を過ぎてから力仕事を始めた自分が浅はかでした。動けなくなり派遣の仕事を続けられず、家族の食事は出前で洗濯はコインランドリー。高額のコルセットを購入する羽目になって生活費が跳ね上がり、収支はマイナス30万円です」(Hさん)
“苦行”を避けるべく資格取得に奔走する人も少なくないが、お金と時間をかけても身にならない副業の代表が「資格ビジネス」だという。副業に詳しいキャリア・マム代表取締役の堤香苗さんが語る。
「『○○カウンセラー』や『△△アドバイザー』など、取得しても需要があるか不明の資格が少なくない。受講料や受験料をむしり取ることが目的の資格もあるので、その資格が本当にお金を生むのかを事前に確認すべきです」
何より大切なのは自分に合った副業を見つけることだ。副業アドバイザーの染谷昌利さんが指摘する。
「最近は受講料が何十万円もする副業スクールを見かけることも増えましたが、初期投資が大きな副業は避けるべきです。主催者の苦労やサクセスストーリーがやたら長い案件もNG。いまは人手不足なので、自分に合った副業が見つかるはずです。
それに50才以上であれば経験を生かしたオンライン講師や実務家教員といった人生経験や自分の能力、趣味を生かせる副業が何かしらある。新しい分野や技術に飛びつくのではなく、地に足のついた副業探しが求められます」
納得して働ける「ホワイト副業」をめざそう。
※女性セブン2023年7月27日号