中古車販売の最大手企業・ビッグモーターの騒動で、市場全体が大きく揺れている。国民生活センターにも中古車の売買に関する相談も多く寄せられているという。中古車の売却をめぐって悪徳業者にダマされないためにはどうすればいいのか。
売却時には高く売るためのコツがある。最初のポイントは、査定額の適切な相場を把握することだ。自動車ライターの萩原文博氏が語る。
「相場がわからないと業者が提示する価格が適正なのか判断できません。相場を知る最大のコツは、まず大手の買い取り店やディーラーなど複数社から相見積もりを取ること。またその際に、対応の差も見ることが大切です。複数社の結果を比較できるネットの一括査定は便利ですが、各社の営業マンから怒涛の連絡が入るので気をつけたい。売却に慣れていないと買い叩かれるリスクもあります」(萩原氏)
そうしておおまかな相場観を得たら、「車の特性」に合った店を選ぶと良い。萩原氏が続ける。
「愛車が輸入車やスポーツカーなら専門の買い取り店を回り、価格を比較検討します。相場より高値ならばそのまま専門店で売ることもできるし、最初に見積もりを取った買い取り店を再訪して、『あそこでは○○万円と言われた』と価格を上げる交渉をする選択肢もある。また、愛車がさほど人気のない車種の場合でも、買い替えを前提としてディーラーに相談すると買い取り(下取り)の値を上げてくれることがあります」
売却時に気をつけたいのが、「今すぐ契約したら価格を上乗せする」といった営業マンの“お得”な誘いだ。
「車の売却はクーリング・オフの対象外で、いったん契約すると引き戻せません。強引に売却を迫られたら一呼吸置き、『今回は査定をお願いしただけですぐに売りません』ときっぱり断わることが大切です」(同前)
実際に国民生活センターでは、ネットの一括サイトを利用後に自宅を訪れたある業者から、「ドアに修理歴がある事故車だから15万円だが、今日すぐに引き渡せば25万円で買い取る」と詰め寄られ、強引に契約させられたという70代の事例が紹介されている。
万が一、こうしたトラブルに巻き込まれたら、すぐに地元の消費生活センターに相談したい。
※週刊ポスト2023年8月18・25日号