投資情報会社・フィスコが、株式市場の8月14日~8月18日の動きを振り返りつつ、8月21日~8月25日の相場見通しを解説する。
* * *
先週の日経平均は1022.89円安の31450.76円と大幅反落。週前半の15日に178.98円と上昇した以外は、すべて3ケタの下落幅となり、軟調な地合いが続いた。国内4-6月期国内総生産(GDP)が市場予想を大幅に上回ったことや為替の円安が下支えする場面もあったが、主要経済指標の悪化を背景に中国経済の減速リスクが強く意識され、週を通して中国・香港株の下落に神経質に反応した。また、米10年債利回りが昨年10月以来の水準にまで上昇し、その後も金利先高観が続いていることも警戒感を誘った。
今週の東京株式市場は神経質な展開か。国内では主要企業の決算発表が一巡し、重要な経済指標の発表もないため、ほとんど手掛かり材料がない。海外でも材料は少なく、最大の注目イベントである国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演は日本時間25日の午後11時頃と、週末の立ち会いを終えた後になる。このため、週末まで模様眺めムードが強く、その間は引き続き日米の長期金利や為替に神経質な展開となりそうだ。
米10年債利回りは17日、一時4.33%まで上値を伸ばしたが、その後4.23%程度にまで水準を切り下げていて、上昇に一服感が見られている。また、先週に入って再び上昇していた国内の10年物国債利回りも3日に付けた0.655%と同じ水準にまで17日に上昇した後は上昇が一服した。18日に発表された注目の7月全国消費者物価指数(CPI)では、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数が前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大したものの、市場予想にとどまったことで、日本銀行の追加の政策修正観測が高まる展開には至っていない。
ただ、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言次第では日米の長期金利の上昇が再開する可能性はある。市場はFRBの金融政策について、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では約9割の確率で据え置きを予想している一方、11月のFOMCでは0.25ポイントの利上げを約3割の確率で織り込んでいる。ただ、7月FOMC議事要旨や直近のFRB高官の発言も踏まえると、利上げの織り込みが不十分にもみえる。また、市場は来年前半からのFRBの利下げ転換を織り込んでいるが、これもやや楽観的な印象を抱く。パウエル議長の講演では、こうした市場の見方を転換させるような発言があるかどうかが重要なポイントとなりそうだ。