企業概要
東海旅客鉄道(9022)は、東海道新幹線と在来線12路線を保有する鉄道会社。
年間売上高1兆4000億円、時価総額3.7兆円を誇り、日経225、TOPIX Large70、JPX日経インデックス400に採用される、日本を代表する企業です。
主力事業は、東海道新幹線と在来線による運輸業で、売上の8割を構成します。このほか、名古屋駅など沿線主要駅を中心とした不動産賃貸事業(同3%)や百貨店運営などを行う流通業(同9%)、ホテルや旅行など(同7%)も展開しています。
注目ポイント
運輸業は、営業利益に対する比率も高く、2023年3月期においては90%を構成しました。
これは、運輸業売上の9割を構成する新幹線事業の収益性が高いためです。三大都市圏を結ぶ東海道新幹線は乗車率が高く、運賃が高い。それが10分に1本の勢いで運行されているわけですから、非常に効率の高い運営が出来ているということになります。
比較しやすいようにコロナ禍前の2019年3月期で見てみますが、同じ鉄道会社のJR東日本(新幹線売上は運輸業売上の3割未満)の営業利益率が16%であったのに対し、同社は36%でした。またコロナが収束してきた前2023年3月期における営業利益率についても、JR東日本が6%であったのに対し、同社は27%でした。
そんな同社の柱である東海道新幹線、重要指標となる利用状況は、コロナ前の水準に向かって回復が進んでいます。
第1四半期の新幹線断面旅客数は、コロナ前の2019年3月期比89%(4月86%、5月92%、6月88%)まで回復してきました。前年同期は67%でした。ちなみに7月(27日まで)は90%と強く推移しています。
ゴールデンウイークや週末の堅調な推移により、新幹線と在来線を合わせた運輸収入については、計画を219億円上回り、コロナ前比91%と期初予想の85%を上回りました。
また、第1四半期のインバウンド収入は190億円となり、コロナ前の2019年3月期比158%となり、総収入の約6%を占めました(コロナ前のインバウンド収入は年間430億円で、全体の約2%)。すでに前第4四半期にはコロナ前水準を18%上回っていましたが、回復が勢いを増してきたことが確認できました。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。