東京都心は8月すべての日が真夏日になるなど、記録的な暑さが続いた。バイクのツーリングには厳しい天候だったが、自動車ライターの佐藤篤司は軽自動車のホンダN-VANと、原付2種のホンダ・ダックス125の2台を使って「快適なツーリングを楽しんできた」という。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は佐藤氏がN-VANとダックス125を併用した「6輪」ツーリングを実践し、レポートする。
つらい移動の部分をクルマに置き換えるドライブプラン
心地いい風を全身に受けながら、抜けるような青空の下、バイクで颯爽と駆け抜ける。ありきたりですがライダーにとって、こうした快感があるから、途中の雨や風も、渋滞路や市街地でのもわっとした熱気も、ほとんど我慢できるのです。さらにいえば、そんな一瞬の快感のために、つらさに耐え、どこまでも走る姿にロマンと申しましょうか、心意気と申しましょうか、正直、独りよがりといわれてもいい意気のようなものを勝手に感じながら走ることこそ、バイク乗りのカッコ良さ、などと感じながら休日のツーリングを楽しむのです。
ところが最近、さすがにこの酷暑の中にヘルメットを被り、飛び出していく気になれずにいました。当然のように休日のパートナーはエアコンがバッチリ効いてくれる4輪ばかり。そんな状況でライダーとしてのプライド(最初からありませんが……)などと言っている場合ではないのです。
一方でSNSには「シーサイドの風は心地よかった」とか「さらりとした風の中、高原のワインディングを駆け抜けて」とか、気持ちのいい内容の友人達の投稿が並びます。読めば読むほどに羨ましくなり、ついに決断したのです。
「そうだ、クルマにバイク積んで出かけよう!」
そこで思い付いたのがホンダの商用軽自動車「N-VAN」と、原付二種(第二種原動機付自転車)の新型レジャーバイクとして人気の「ダックス125」のこと。N-VANは軽自動車の小さなボディでありながら、運転席以外の座席をすべて床下に格納すると、相当の積載量を実現。商用はもちろんですが、アウトドアなどのレジャー用としても、カスタムカーのベース車としても大人気の1台です。
バイクを積むことについても優れていて、多少の技は必要となりますが、750ccのバイクの中には搭載できるモデルがあります。以前、少しハンドルの高さのある原付2種、クロスカブ110を積み込んだことがありますから、当然、それよりコンパクトなダックスなら心配は不要で、楽々と積み込みができます。
これで市街地や渋滞路の熱風の中といった、バイクではつらいシーンをエアコンの効いた車とともにワープ可能。原付2種では走行出来ない自動車専用道や高速道路もスッと移動し、風が気持ちよくなったところでバイクを降ろして、存分にツーリングを楽しむ。そんな「いいとこ取り」の6輪ツーリングへと出発です。