阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を決め、大阪・道頓堀川周辺も大騒ぎとなった。その経済効果は今年3月の侍ジャパンのWBC優勝時を凌ぎ、1000億円近い規模にもなると報じられているが、お膝元の商店街を取材すると意外な声も聞こえてきた。
18年ぶりの「アレ」を受けて、もちろん地元では歓喜のコメントが数多く寄せられた。
「そりゃ感激しましたよ。これまで長く“マジック”を減らしてきましたが、0(ゼロ)になったのは初めてですからね」
そう話すのは「日本一早いマジック点灯」で知られる尼崎中央三丁目商店街で、阪神が勝利した翌日にマジックを減らす担当の尾島晴己さんだ。数字を掲示する「めでタイガー」の近くに位置するペットショップの店長である。
「マジックが一桁になった段階で『アレ』を確信しましたが、いろんなパターンで優勝が決まる可能性がありそうだったので、優勝翌日の午前11時に“0”に張り替えることを決めていました。商店街名誉応援団の道頓堀プロレスの選手も駆けつけてくれるなど、大いに盛り上がりました」(尾島さん)
同商店街の寺井利一理事長も「阪神が強い時も弱い時も応援してきたので、そのスタンスを変えずに、これからも阪神とともに盛り上がっていきたい」と喜びの声をあげたものの、優勝を確信したのはいつか、という質問には「岡田監督の胴上げを見た瞬間ですね」と笑いながら応じた。
この商店街は、18年もの間、期待を裏切り続けられてきたということでもある。そのためか、シーズン中盤の取材では阪神が首位をひた走っている中で「優勝セールの予定も組んでいるのか」といった質問をぶつけても、寺井氏は「その話をしたらアカンねん。優勝セールのことを言い出すと負けるジンクスがあるんですわ。だからまだ白紙。商店街にとってはデリケートな問題なんです(笑)」と明言を避けてきた。