業績が低迷する企業が業績を立て直すと、株価は大きく上がる傾向にある。では、どのようにそのような企業を探せばよいのか。10年以上にわたって上場企業の決算説明会に参加し続け、1000社以上を継続調査している経験をまとめた著書『成長する企業がやっている分析する広報』が話題の分析広報研究所・小島一郎氏が解説する。
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「テンバガー」という言葉がある。株価が10倍以上になる株という意味だ。10倍までにならなくとも、株価が何倍にもなると聞くと、利益が非常に大きく成長する企業を思い浮かべるだろう。
一方で、現在の株価がとても安い会社で、その状態を脱した結果、「株価が何倍にもなる」ことがある。経営状態が非常に悪い状況を脱したら、株価が倍以上になることは良くあることだ。
コロナで旅客需要が急激に減退した際の日本航空(9201)がわかりやすい例だ。2020年11月に株価1556円をつけたが、コロナが5類になった後の2023年6月には3205円と、コロナ期の底値の2倍以上の株価をつけている。
日本航空のような時価総額が1兆円を超えるような大型株とされる上場企業でも2倍になることがあるのだから、いわゆる中小型株と言われる時価総額が小さい上場企業ならば、元々の分母(株価、時価総額)が小さいゆえに、復活、再生した場合の変化幅は何倍にもなり得る。
私は、大手国内証券アナリストでのリサーチ経験などを活かして、分析広報研究所として、現在、10年以上にわたって独自に様々な業界の上場企業をリサーチし続けている。
中小型と言われる上場企業は、機関投資家やアナリストからの注目度が低いため、決算説明会への参加者が10人も集まらず閑散としていることもザラだ。なかには業績が赤字に陥り経営危機に瀕して、「倒産株価」と言われる、株価が100円を切る状態になってしまう企業もある。
そんな苦境を乗り越えて業績を黒字転換させる企業には、共通している事象がある。これは個人投資家にとっても知っておけば役に立つ有益な判断基準なので紹介してみたい。