世の中には「とことん気が利かない人」が存在する。周りから見れば「なぜこのタイミングでそれをするのか……」と呆れることもあるが、当人はそれを当然の行為だと思っているから始末が悪い。最近立て続けに「とことん気が利かない人」に出会ったネットニュース編集者の中川淳一郎氏がリポートする。
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先日、東京行きの飛行機に乗るために福岡空港を利用したのですが、手荷物検査でその手の人に遭遇しました。この日は大混雑で、列に並んでから25分後にようやく終了!……といった状況でしたが、最後に思いもよらぬトラップがありました。
私の前には、恐らく東京在住で、九州で何らかのアイドルイベントに参加した帰りであろう中年女性が大量の荷物をいくつものトレーに入れ、X線に通していたのです。そして彼女は自身が金属探知機を通り、それら荷物が入ったトレーを全て受け取り終えるまでのわずかな時間で、すでにX線を通過したトレーの中のバッグから突然水筒を取り出しました。
私の荷物が入ったトレーもその後に続くというのに、彼女はゆうゆうと水筒の蓋を開けると何やら飲み始めます。その間に、ベルトコンベアに乗ってX線をくぐった彼女の荷物はすべて自身の手元に届きましたが、彼女はベルトコンベアのそばから動かず、「はーっ」とか言いながらのんびり飲み続ける。
もちろんベルトコンベアが止まっているわけではないので、私の荷物は彼女の荷物の後ろで糞詰まり状態です。私の後ろに並んでいた乗客たちの荷物も続々とX線を通過するものの、彼女が移動しないため人の流れはせき止められてしまい、どうにも荷物をピックアップしづらい。結果的に荷物トレーが彼女の目の前で大渋滞する事態となり、その場の空気が一瞬殺気立ちました。
もしかしたら、係員から“中身確認”のために目の前で飲むよう指示がされたのかな……とも思いましたが、どういった理由があるにせよ、せめてベルトコンベアのそばから一歩離れて、水筒の蓋を開けることはできなかったのですかね? 自分のことばかりで、周りの人のことが考えられない典型だと思いました。