緊急時に無料で病院まで搬送してくれる救急車だが、X(旧Twitter)で救急車の有料化をめぐる議論が巻き起こっている。背景には、救急出動件数と搬送人員が増加と、搬送人員の約半数が「軽傷」という現実がある。
総務省の資料によると、令和4年中の救急車の救急出動件数は722万9838件だった(前年比103万6257件増、16.7%増)。搬送人員は621万6909人(前年比72万5165人増、13.2%増)。救急出動件数、搬送人員ともに大幅に増加し、統計開始以来、最多となった。
搬送人員の傷病程度別にみると、軽症(外来診療)が最多の293万8525人(47.3%)。次いで中等症(入院診療)が270万4042人(43.5%)、重症(長期入院)が47万8775人(7.7%)だった。軽症は前年246万460人から19.4%増加した。
こうした救急車の利用傾向を踏まえて、救急車の無料を維持すべきか、それとも有料化を検討すべきなのか──。賛否両論の声が上がっている。
“常連”の存在はどうにかしないといけない
メーカー勤務の50代男性・Aさんは、救急車の有料化に賛成。ただし、「罰金」という形で徴収すべきだと持論を展開する。
「気軽に救急車を呼ぶ人のせいで、明らかに急を要する人が後回しにされるようなことがあってはらないと思います。一律有料とまでいかなくても、タクシー代わりに使うような悪質なケースには、後から罰金という形でお金を徴収すべきではないでしょうか」
Aさんは、「有料化した方がいい」と思うきっかけになった出来事がある。
「ある日の帰宅途中、救急車の救急隊員が呆れた口調で『またあなたですか』とおじいさんに言っている場面に遭遇してしまいました。そのおじいさんは遠目にもピンピンしていて……。
あとから近隣の方と雑談するなかで知ったのですが、そのおじいさんは少し手の指をひねったか何かだったそう。もちろん人によって緊急事態は異なるのでとやかく言えませんが、救急車を呼ぶほどなのか、タクシーで病院に行くのではダメなのかなどはきちんと考えたほうがいいと思いました。
結局、路上駐車だって飲酒運転だって、なんでも抑止のためには罰則、罰金じゃないですか」(Aさん)