投資情報会社・フィスコが年末年始のドル円相場の見通しを解説する。
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今週・来週のドル円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が広がっているが、日本銀行による緩和修正期待は大幅に後退し、リスク選好的な円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。FRBは今月開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、想定通り3会合連続で政策金利の据え置きを決定。また、当局者による金利見通しによると、市場は早ければ来年3月の利下げを想定している。FRB内では今後の政策方針について強弱分かれ、利下げに否定的な見解が聞かれれば短期的にドルの買戻しが入りやすい。ただ、ハト派寄りの見方がより材料視され、米金利安・ドル安要因となりそうだ。
一方、日銀は18-19日の金融政策決定会合で、現行の大規模緩和政策を堅持。「年末から来年にかけて一段とチャレンジング」との植田総裁の国会答弁を受けたマイナス金利解除への期待は大きく遠のいた。日銀の引き締め方針を先取りした円買いは巻戻され、主要通貨を押し上げる展開が続くだろう。ドル円の取引では、ドル以外の通貨に対する円売りが観測されており、この動きがドルをサポートするとみられる。ドル円の下値は堅いが上値の重さは消えていないため、ドル円相場で明確な方向感は出にくい。
【米・12月ISM製造業景況指数】(1月3日発表予定)
1月3日発表の12月ISM製造業景況指数は節目の50を下回る見通し。2022年11月以降は40台で推移しており、景況感が改善しなければ利下げ観測によるドル売り地合いに。
【米・12月雇用統計】(1月5日発表予定)
1月5日発表の米12月雇用統計は想定以上に改善しなければドル売り要因となる。11月は失業率が3.7%、非農業部門雇用者数は前月比+19.9万人、平均時給は前年比+4.0%だった。