米国の金利水準が高いことから、債券投資が注目されている。金利が今後下落することを見込んで債券の価格上昇を狙う投資を行なう場合、どのような選択があるか。また、債券投資の派生形として元本割れリスクが低いMMFに投資する方法もある。著書『元証券マンが教える 利回り18.5%を実現する米国債投資』(KADOKAWA)が話題の独立系ファイナンシャルプランナー・ようへい氏が解説する。
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債券投資のイメージとして、毎年利金が手に入るけど、短期目線で利益を取りにくいと思っている人は多いと思います。しかし、高格付けの長期債であれば、債券投資でも短期間で利益を狙える可能性があります。
その理由は、金利と債券価格が逆相関の関係にあるからです。金利が上昇している時は債券価格が下落し、金利が下落している時は債券価格が上昇します。
つまり、債券価格が安くなっている金利が高い時期に購入すれば、金利が低くなっていくにつれて債券価格も上昇していくので、上手くいけば短期で大きなキャピタルゲインを狙えるということです。そして、この金利と債券価格の逆相関の関係性は、格付けが高いほどワークします(格付けが低いと、金利変動よりも発行体の個別要因のほうが債券価格変動の変数として強くなります)。
続いて、なぜ長期債が良いのかという理由です。これも債券の重要な特性ですが、債券は残存期間が長ければ長いほど、金利変動に対する債券価格のボラティリティが上昇します。
ボラティリティとは価格変動の度合いのことで、ボラティリティが大きい=債券価格の動きが大きく、ボラティリティが小さい=債券価格の動きが小さくなります。
例えば、金利が上昇すると債券価格は下落しますが、残存期間が短い債券だと、下落幅が少なくなる可能性が高いです。一方で、残存期間の長い債券になるほど、債券価格はより大きく下落します。
債券において「残存期間が短い債券は金利が変動しても債券価格が動きにくく、残存期間が長い債券は金利の変動によって債券価格が大きく動く」というのは絶対的な法則です。
残存期間が長い債券はボラティリティが大きいので、値上がり益を狙うのであれば、長期債を持つ方法が良いということです。
例えば、残存年数が10年と残存年数が30年の債券があるとします。残存年数以外の条件が同じであれば、金利が低下した場合、残存年数が10年の債券よりも残存年数が30年の債券の方が大きく債券価格が上昇します。
つまり、首尾よく金利が低下したという前提ですが、残存年数が30年の債券を買う方がキャピタルゲインを大きく取れるメリットがあるということです。
仮にキャピタルゲインを期待して長期債を購入し、予想通りに金利が下がらなかったとしても、債券を保有していると利金を毎年受け取ることができます。つまり、債券価格が上がるまで債券を保有し続けていても一定の利益が得られるため、金利が下落するという予想を外したとしても大きな損をしにくいです(物価変動の状況によってはインフレ負けしてしまう可能性はあります)。
さらに、債券は購入時の利回りをロックできるため、仮に償還時まで金利が下がらなかったとしても、金利が高い時の利回りをずっと保てます。