受験を無事に終えた生徒が記す合格体験記は、後ろに続く受験生の参考になるものだが、案外有用なのが、「どうやったら落ちるのか」を知ること。受験で望むような結果が得られなかった人からも学ぶことは多いはずだ。合格体験記はよく目にするが、あえて“不合格体験記”を集めてみた。そこから見えてくる“学び”とは──。【受験不合格体験記・前後編の前編】
「試験前日に眠れなくて“完徹”」「熱が出て別室で受験」
まず分かりやすいのは、本番でまったく力が発揮できなかったパターンだ。2浪して東大に入学したTさん(40代/男性)は、1浪時代にやらかした。
「現役の時は普通の生活でしたが、浪人に入ると昼夜が逆転。深夜の方が集中できるので、朝の5時か6時まで勉強して、昼過ぎに起きる生活をしていたんです。そうしたらいざ本番という時に体内時計の“時差”が修正できず……。全然寝つけなくて、センター試験を“完徹”で受ける羽目になり、結果はボロボロ。模試では十分合格圏内だったのに、2浪に突入することになりました」
本番当日をベストコンディションで望めなかった、というのはありがちな話。体調不良に襲われたのはUさん(10代/女性)だ。Uさんの父親が語る。
「試験会場がだだっ広いホールで、娘が言うには『すごく寒かった』らしく、思いっきり風邪を引いて帰ってきたんです。我が家はパニックですよ。コロナ禍の時期だったので、熱があった娘は別教室で試験を受けられましたが、『頭がボーッとして全然ダメだった』とのこと。不本意な結果に終わりました」
かくいう記者も受験生時代、某大学で「暑いから窓を開けて欲しい」と執拗に訴える受験生がいて、試験官がそれに応じたために教室は冷え切り、しっかり風邪を引いた経験がある。一方で、試験会場が暑すぎて、集中できなかったという話も聞いたことがある。防寒対策はもちろん、体温調節をしやすい格好も重要だろう。