医療費の「負担増」の流れが鮮明になっている。人生100年時代を生き抜くためには、賢く医療費の支出を抑える必要がある──。
病院で受け取る医療費の明細書を見て、請求額にため息が……。埼玉県在住のAさん(77)が言う。
「高血圧の治療でクリニックに通院していますが、少し前から窓口での支払いが倍になった。日用品の物価上昇もあって、貯金を取り崩す日々です」
2022年10月から、一定以上の収入がある75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担が1割から2割に引き上げられた。単身だと年収200万円以上などの条件を満たした人が対象で、国の推計では1815万人の後期高齢者のうち約20%が負担増となったが、医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は「さらなる拡大は既定路線」だという。
「75歳以上にかかる医療費の総額は全体の4割近くに達し、団塊世代が後期高齢者になる2025年以降も増え続けると予測されています。政府はこれを抑制したい意向で、高齢世代の窓口負担増加は避けられないでしょう」
負担増の流れは全世代に及ぶ。今年4月からは国民健康保険の年間保険料の上限が2万円引き上げられる。高所得者や現状での窓口負担割合が低い人から、少しずつ負担が増やされる流れなのだ。
その影響は大きい。
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