家族のため、将来のため、万一に備えて入るのが生命保険だが、加入時と状況が変われば、見直しの余地もある。物価高が生活を圧迫しているいまだからこそ、毎月一定額を支払う「生命保険料」を削って、家計を守ることもできるだろう。
公益財団法人「生命保険文化センター」の調査によると、生命保険の世帯加入率は89.8%。年間保険料は1世帯あたり平均37万1000円だった(2021年度)。世帯主の年齢別に見ると、50代後半と60代後半が年43万6000円で最も高い。
住宅や車の購入時同様、契約前には商品を吟味するが、仕組みが複雑な保険は見直すタイミングが難しい。ただ、毎月決まった額が出ていく生命保険料という「固定費」が削減できれば、その効果は大きいはずだ。
ファイナンシャルプランナー(FP)で家計コンサルタントの八ツ井慶子氏は、「多くの家庭で、保険に入りすぎていた時期が長かった」と指摘する。
「将来の生活への不安や安心感を得たいとの思いからか、年齢を重ねた人ほど“保険信仰”が強い傾向にあります。
そこに日本の保険営業でよく使われる『GNP(義理・人情・プレゼント)』による押しもあって、様々な保険に加入しているケースが非常に多い。昔契約した複数の保険料がそのまま口座引き落としになっているという人は見直す余地が大きい」
近年は無料相談ができる保険ショップが増えたこともあり、契約者にも「自分にあった保険を選ぶコスト意識」が定着しつつあるが、状況は刻々と変化している。八ツ井氏は物価高が家計を圧迫し始めたこともあり、「見直し時だ」と説明する。
生命保険の整理が難しいのは、「自分が死んだ後の家族のため」「病気やケガに備えるため」「貯蓄のため」といったかたちで目的別に種類が様々あり、どれから見直すべきかがわかりにくいからだ。
そうしたなかで八ツ井氏が挙げる多すぎる保障における「見直し対象」のパターンは2つ。「保障額・保険料が必要以上に大きいケース」と、「保障内容がダブっているケース」だ。