大病を患った際に医療費の負担が大きくなることへの備えとして「民間の医療保険」に加入する人は少なくない。
がんになったという診断を受けたり、入院が必要になった際に給付を受けられる様々な保険商品がある。万が一に備えるためには、毎月の保険料が多少かさんだとしても手厚い保障を受けたいと考えがちだが、本当にそうだろうか。
ファイナンシャルプランナーの小谷晴美氏は「保険診療の自己負担が一定程度に抑えられる高額療養費制度があることをきちんと認識しましょう」とアドバイスする。
「よほど個室に入院をしたい、自由診療の治療を受けたいといった考えがある人のケースを除けば、大抵の医療費は高額療養費制度でカバーできます。その前提を踏まえたうえで、必要な医療保険を精査して選んでいくのがよいでしょう」
小谷氏によれば、民間の医療保険を選んだり、見直したりする際には、複数の注意点があるという。まずは、「入院給付金の支給日数の仕組み」を理解することが大切だ。
「入院時は医療費以外の部分でも何かと物入りになるので、保険による保障を受けたいと考える人は多いです。ただ、多くの医療保険では入院給付金の支給対象となる日数を“1入院60日まで”と設定しています。注意したいのは退院した後、180日以内に再び入院すると、そこでも“1入院”にカウントされること。例えば、半年間にわたって入退院を繰り返し、通算90日の入院をしたとすると、最後の30日分は給付金の支給がありません」(「 」内は以下、小谷氏)