中国では2月10日の「春節」から大型連休が始まる。例年のように日本にも多くの旅行客が来ることが予想する人もいるだろうが、今年はどうやら少し様子が違うようだ。インバウンド評論家の中村正人さんが解説する。
「中国経済の悪化で、団体旅行で訪日していた中間層が海外旅行をする余裕がなくなってきている。そのため、バスで繁華街の大通りに乗り付けて『爆買い』する集団は、今年はほとんど見られないでしょう」
ツアー観光客が減少する一方、個人旅行は活発になりそう。中国事情に詳しいジャーナリストの中島恵さんは言う。
「団体旅行の場合、“富士山を見て、銀座で買い物をして”など定番スポットを巡るコースがほとんどでした。ですが、個人旅行で日本を訪れる中国人は、ありふれた旅行スタイルに魅力を感じなくなってきており、“自分なりの魅力的な行き先を探す”というのがトレンド。今年の春節は外国人観光客がほとんど来ないような場所に中国人がひょっこり現れ、思わぬ混乱が生じる可能性があります」
個人旅行者を相手にする「闇ガイド」トラブル
もし“春節旅行”に居合わせた場合、どんな混乱が起こり得るのか。中村さんが危惧するのが、個人旅行者を相手に活動する違法の「闇ガイド」にまつわるトラブルだ。
「中華圏からの旅行者を相手に、運転から通訳まで日本滞在中のフルアテンドを提供する個人ガイドが存在します。しかし、在日中国人や短期ビザで来日した香港人・台湾人による不法就労であることが多く、旅行業法にも抵触する」(中村さん・以下同)