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働きながら「がん」と戦うことの過酷さ 肺がん罹患40代男性は体力衰え収入減、高校生の子供の進路選択に影響

働きながら「がん治療」する人たちが直面する過酷な現実とは(写真:イメージマート)

働きながら「がん治療」する人たちが直面する過酷な現実とは(写真:イメージマート)

 早期発見と適切な治療により、がんが「治る病気」となりつつある現代でも、罹患者の悩みは尽きない。その一つが「仕事」の問題だ。厚労省の調査(2020年)によれば、がん診断後の休職率は54%。退職率も19%にのぼる。がん闘病は仕事への影響が避けられず、治療が長引くほど家計の負担は増大する。働きながらがんと戦う術を探った。【前後編の前編。後編を読む

入院と通院で年間130万円近く支払った

 国立がん研究センターが1月に公表した「10年生存率」はがん全体で53.5%。生存率は多くの部位で上昇傾向にある。

 治療後の経過観察を含め長く付き合っていく病気となったが、治療費の捻出には安定した収入が必要だ。ここにがん罹患者の難題が立ちはだかる。

 43歳の時に血液のがんの一種である悪性リンパ腫と告知された九州在住の男性会社員A氏が語る。

「ある日、扁桃腺の様子がおかしいことに気付き職場近くの病院を受診したところ、『良くない病気の可能性がある』と大学病院を紹介され、検査の結果、血液のがんと診断されました」

 小中高に通う3人の子供を持つ男性は、妻と診断結果を聞き、頭の中が真っ白になったという。

 その後、長期にわたる抗がん剤治療が始まる。

「初めは38日間入院して治療し、2回目以降は1か月から1か月半おきに通院、点滴投与を受けました。1回につき約14万円の抗がん剤を1年間で計6回です。高額療養費制度(ひと月の医療費が収入や年齢に応じ定められた自己負担限度額を超えた場合、超過分が還付される制度)を使って月9万円弱の出費となりましたが、自己負担分をトータルすると、入院と通院で年間130万円近く支払いました」(同)

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