帰省など家族が集まる場面では、お墓のことが話題に上ることも多いだろう。墓じまい(改葬)は2022年度で15万1076件と、過去最高となっている(厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例」より)。墓じまいの手順や費用、その後の供養の方法はどのようなものか。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんが解説する。
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最近、「墓じまい」という言葉をよく耳にするようになりましたが、この言葉の意味って説明できますか? 実はFPである筆者も、数年前に実父が亡くなってやっとお墓のことを意識したのです。そう、親が元気なうちは興味を持たないものです。
とはいえ、最近は筆者のまわりで、同世代(50代)で集まる時や、40~50代のお客様の相談を受ける時、「墓じまいや永代供養に興味はあるがよくわからない」などお墓に関する話題がのぼることが増えました。親の住む地域や長男かどうかなどによっても、お墓に対する意識や知識量はちがいますが、まずは基本的なことがらについて知識を身につけ、自分にどのくらい関係するのか、何を考えるべきか早めに知ることが大切です。本記事では、筆者がよく耳にする疑問にお答えしていきます。
【疑問その1 】墓じまいってそもそも何?
墓じまいとは、お墓から遺骨を取り出し墓石を解体・撤去し更地に戻すことを指します。お墓から取り出した先祖代々の遺骨は、別の場所に移したり、別の形で供養することとなります。墓じまいについて気になる人はどのような背景があるのでしょうか。一例をみてみましょう。
【墓じまいを検討する人の背景例】
・一人っ子かつ独身、または子どもがいない
→自分が死んだ後にお墓を管理できる人がいない
・先祖代々のお墓が遠方にある
→今後の維持管理の負担が重い
・お墓近くに住む親が高齢になった
→お墓の管理ができず荒れてきている
・子どもはいるが女子しかいない
→お墓の管理を任せられるか不安
・男子の子どもはいるが子どもに負担をかけるのが嫌だ
・複数のお墓を1つにまとめたい
これらの例と同様の悩みを持つ人は、墓じまいが一つの解決策になる可能性があります。早いうちに調べておくと良いでしょう。