住まい・不動産

売らなきゃ良かった…自宅売却での誤算 「ペットと別れ」「通院時間3倍」「ゴミ出しに苦労」「熟年離婚」等、決して小さくない生活環境激変の代償

「高値の今が売り時」と言われ焦ってしまった(イメージ)

「高値の今が売り時」と言われ焦ってしまった(イメージ)

 子供が独立し、広さを持て余すようになった自宅。「ダウンサイジング」や「実家じまい」が盛んに叫ばれるなか、安易な持ち家の売却は禁物だ。多くの人が陥る自宅売却の誤算、各種事例を見ていこう。

「高値の今が売り時」と言われ焦ってしまった

 まもなく定年退職を迎える埼玉県在住の男性(59)は「人生最後の決断」を悔やんでいる。

「昨夏、都内にある築30年の自宅を売却しました。定年後の生活を考えると、老朽化が進む建物の維持は経済的、体力的にも難しい。子供たちも巣立ち、老夫婦で広い家に住み続ける必要はないと判断したからです。

 売却はスムーズに進み、現在はバスと電車を乗り継ぎ都心まで1時間ほどの1LDK賃貸マンション(家賃8万円)で暮らしていますが、正直『失敗した』というのが本音ですね」

 男性が手放した3LDKの戸建住宅は最寄駅から徒歩10分、勤め先まで電車で20分ほどと比較的恵まれた立地にあった。

 新築分譲時の価格は4800万円。35年ローンを組み、売却を決断した際のローン残高は800万円ほどだったという。

「知人のつてで不動産業者を紹介してもらい、売却交渉はとんとん拍子で進みました。業者からは『高値の今が売り時。機を逸すると売るに売れず“負動産”化し、相続人の子供に迷惑がかかる』と言われ、焦ってしまった感もあります」

 示された売却価格は想定を大きく下回る1200万円。それでも男性は、新しい環境で第二の人生を切るべく、契約書に判をついた。

「貯金でローンを完済し、自宅を売ったお金と、この先入る退職金、年金で老後はやりくりできる算段でした。ただ、『売価=手残り』と安易に考えていたことに誤算が。売却・引っ越しに伴う諸費用が想定外に膨らみ、200万円以上の出費となってしまったのです」

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