配偶者に先立たれ、子供たちも独立した──その結果、ひとり暮らしをすることになる高齢者も少なくないだろう。ひとり暮らしになれば、病気やケガ、突発的なアクシデントで体が動かなくなった時の不安が付きまとう。FPで介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が言う。
「お風呂で体調を崩して倒れたまま、誰にも発見されず亡くなるケースは珍しくありません。ベッドから転落し壁に挟まれ身動きが取れず、翌日親族に見つかるまで『呼吸が苦しいまま、なすすべがなかった』という話も聞きました。
最悪の事態が起きてからでは遅いので、あらかじめ『病に倒れた自分』を想定し、速やかに駆けつけてくれる人に『SOS』発信できる環境を今から整えておくことが望ましい」
2008年に妻の恵子さんを食道がんで亡くした評論家の川本三郎氏(79)氏もこう語る。
「この歳でひとり暮らしをしていると、特に冬場は、お風呂での事故が怖い。倒れたら誰も気付かないでしょう。もし連絡が取れなくなった時は『緊急事態が起きたと考えてくれ』と、親しい編集者に駆け付けてもらえるよう、自宅の合鍵を渡しました」
そうした状況を先回りして準備しておくことが、命をつなぐ重要な鍵となる。
民間警備会社同様の「見守りサービス」提供の自治体も
民間警備会社では、宅内に設置したセンサーで、冷蔵庫の開閉など日常的な動作がない場合、異変を察知して警備員が駆け付けるサービスを提供しており、加入者が増えているという。