投資情報会社・フィスコが8月26日~8月30日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。2024年の終盤に向け米国の利下げと日本の利上げに思惑が広がり、ドル売り・円買いに振れやすい。ただ、米経済指標をにらみ、ドルに買戻しの場面もありそうだ。8月21日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、7月30-31日の同会合開催時点で利下げに前向きだったことが明らかになった。それを受け、9月利下げは確実視されている。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はジャクソンホール会合での講演で、来月開催の次回FOMCでの0.25ポイントの利下げを示唆するとみられる。想定通りなら今週以降は金利安・ドル安となる可能性がある。
一方、植田日銀総裁は23日の国会閉会中審査に出席し、金融正常化の政策方針を改めて強調。今月初旬の株価暴落を受け、内田日銀副総裁は今後の金融政策についてハト派的な意見に傾いていた。しかし、植田氏は7月末の金融政策決定会合後の定例会見と同様、「緩和度合」を調整する方針を示した。そのため今後の利上げを見込んだ円買いが入りやすく、ドルを含め主要通貨を下押ししそうだ。
もっとも、今週発表の米7月コアPCE価格指数は、6月分の+2.6%から小幅上昇が予想され、インフレ鈍化による利下げを想定したドル売りを抑止する材料になり、ドルの下落ペースは緩慢とみる。
【米4-6月期国内総生産(GDP)改定値】(29日発表予定)
29日発表の米4-6月期GDP改定値は、速報値の前期比年率+2.8%を維持できるか注目される。減速懸念が強まれば株安・ドル安が見込まれる。
【米7月コアPCE価格指数】(30日発表予定)
30日発表の米7月コアPCE価格指数は、6月分の+2.6%から小幅上昇が予想される。ただ、基調的なインフレ鈍化で、利下げ観測によるドル売り地合いは続くだろう。