投資情報会社・フィスコが9月2日~9月6日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は弱含みか。米雇用情勢の関心が高まるなか、低調な統計が示されれば減速を懸念したドル売りが先行しそうだ。また、日本銀行の金融正常化をにらんだ円買いも下押し圧力となる。米労働省は8月21日、2023年3月から2024年3月までの非農業部門雇用者数について290万人から約210万人に約82万人下方修正したと発表した。それを受け、労働市場の縮小が懸念されている。今週は複数の雇用関連指標の発表が予定され、市場は敏感に反応する見通し。9月6日の8月雇用統計は、7月分の弱い内容が続くか注目される。特に、失業率が上昇すれば減速懸念を強める材料になりやすい。
パウエルFRB議長は8月23日のジャクソンホール会合で講演し、緩和的な政策に修正する姿勢を示唆。7月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の引き下げに前向きだったことが議事要旨でも明らかになった。市場は利下げ幅に注目しており、雇用情勢の悪化が鮮明になれば9月17-18日開催のFOMCで0.50%の利下げ幅や年内2回の実施が予想される。
一方、日本銀行は金融正常化の方針を崩しておらず、年内の追加利上げをにらんだ円買いが続く。ドル・円は値ごろ感から買い戻しが入りやすいものの、戻りは鈍く、緩やかに下値を切り下げる値動きを予想する。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月3日)
9月3日発表の8月ISM製造業景況指数は47.8と、節目の50を下回る見通し。ただ、前月の46.8からやや改善が期待され、ソフトランディング期待のドル買いに振れやすい。
【米・8月雇用統計】(9月6日)
9月6日発表の米8月雇用統計は失業率が4.2%、非農業部門雇用者数は前月比+16.5万人、平均時給は前年比+3.7%の市場観測。賃金上昇圧力が上昇すればドル買い要因に。