藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

《譲渡益と配当金で異なる扱い》米国株取引にかかる税金を解説 日米での「配当に対する二重課税」は確定申告で取り戻せる

米国株にかかる税金は譲渡益と配当金で計算が異なる(写真:イメージマート)

米国株にかかる税金は譲渡益と配当金で計算が異なる(写真:イメージマート)

 米国株投資が人気を集めているが、米国の個別株に投資して利益が出た場合、どのような税金がかかるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第108回は、「米国株の税金」について。

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 日本株の取引では、譲渡益と配当金にそれぞれ20.315%の税金がかかります。NISA口座内での取引では、どちらも非課税になります。米国株の場合はどうなるのでしょう?

譲渡益と配当課税はちがう

 米国国内では、譲渡益に対して、保有期間が1年以内の場合は、個人の所得に応じて10~37%の税金がかかります。保有期間が1年以上の場合は、低所得者層0%、中所得者層15%、高所得者層20%の税金がかかります。

 ところが、日本で米国株を買った場合は、「租税条約(租税に関する二重課税防止条約)」によって、米国では課税されず、日本国内で日本の税制に沿って20.315%の譲渡益税が課せられます。米国株取引の場合、為替差損もありますので、それも含めて譲渡益を計算します。

 以下の例で説明しましょう。

【購入時】
・購入価格:100ドル
・購入時為替レート:1ドル=100円
・購入金額(円換算):10,000円

【売却時】
・売却価格:110ドル
・売却時為替レート:1ドル=95円
・売却金額(円換算):10,450円

【この場合の譲渡益の計算方法】
・ドルベースでの利益:110ドル-100ドル=10ドルの利益
・円換算での計算:
 売却金額:110ドル× 95円=10,450円
 購入金額:100ドル× 100円=10,000円
 譲渡益:10,450円-10,000円=450円

 このように為替差損も合わせた損益額に20.315%の税率が適用されます。確定申告の際は、円換算後の金額(この場合は450円)を譲渡益として申告します。

 一方、配当金に関しては、米国・国内のどちらでも課税されます。米国で日米租税条約に基づいた税率(10%)が源泉徴収され、差し引かれた残りの金額に対して、日本で税率20.315%が源泉徴収されます。

 つまり二重課税されることになりますが、確定申告をして「外国税額控除」を申請すれば米国で支払った10%は還付されます。ただし、外国税額控除は所得税の控除限度額があります。

 米国株をNISA口座内で取引していれば、譲渡益は非課税になりますが、配当にかかる外国税10%は非課税になりませんので、この点は注意が必要です。

 配当金を再投資しても、税制の観点からは、一度配当金を受け取ったものとして扱われます。

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