スマートフォンのなかにSNSアプリをたくさん入れ、気がついたら四六時中、X(旧Twitter)やInstagram、TikTok……と、ぐるぐる閲覧し続けているという人も少なくないはず。スマホの進化で利便性が大いに高まり、生活に欠かせないものになった反面、SNS依存が子どもの精神に悪影響を与えるとして、アメリカでは法規制の動きも広がっている。
そんななか、世界的にトレンドに敏感なZ世代のあいだでじわじわと浸透しているのが、「ダムフォン(dumb phone)」だ。ダムフォンとは、通話やメールなどの最低限の機能だけを備えた、フィーチャーフォン(ガラケー)のような端末のこと。
ダムフォンは欧米のティーンを中心に流行し始めているが、日本では平成リバイバルの流行もあって、「古いiPhone」にハマる若者が増えているという。なぜ今、世界中の若者が、あえてローテクなケータイに魅了されているのか──。
SNS依存やSNS疲れから解放されたいユーザーたち
デジタルメディアの歴史に詳しい、メディア研究者の男性・Aさん(30代・大学教員)は、次のように解説する。
「ダムフォンとは、直訳すると『おばかなケータイ』とでも言いましょうか。ノキアブランドで知られるフィンランドの携帯電話メーカー・HMDグローバルは、ここ最近、平成に流行したような懐かしいデザインのケータイを発売しています。キャッチコピーは『Dumb phone, smart choice(ダムフォン、賢い選択)』です。
ようするに、“あえて機能性を捨てることが賢い選択なんだよ”というメッセージを消費者に伝えているんです。実際に、ダムフォンではSNSアプリ(Facebook、Instagram、TikTok、X、BeRealなど)やメッセージアプリ(LINE、Messengerなど)は使用できません」(Aさん)