森口亮「まるわかり市況分析」

【NYダウ史上最高値を更新でも米国株式市場に残る懸念】エヌビディアをはじめ半導体株の軟調は「出遅れ」なのか「市場下落の先触れ」か、注目すべき今後の3つのポイント

米国株式相場を牽引してきたエヌビディアの株価の戻りは鈍い (写真:Getty images)

米国株式相場を牽引してきたエヌビディアの株価の戻りは鈍い (写真:Getty images)

 9月18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.5%の利下げがおこなわれ、アメリカの株価は上昇している。一方でエヌビディアをはじめとした半導体の株価は軟調となっている。こうした展開の中で今後の株式市場をどう読み解けばよいのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。

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 9月18日にアメリカではFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、通常の2倍にあたる0.5%の利下げが行われ、ついに金融政策の転換点を迎えました。これを受けて、アメリカの景気に対する楽観的な見方が広がり、株価は上昇。NYダウやS&P500といった主要な株価指数は史上最高値を更新しました。しかし、これで全ての懸念が解消されたわけではありません。今回は、筆者が感じている市場への不安を整理してみたいと思います。

【不安1】半導体株の戻りの鈍さ

 主要な株価指数が最高値を更新する一方で、半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体指数(以下SOX指数)は、9月20日の終値時点で史上最高値から▲15.71%の水準に留まっています。さらに、8月22日に付けた直近の高値すら超えておらず、上昇トレンドに転じたと確認できる状況には至っていません。

 半導体株は、製造業の中でも川上に位置する重要な産業で、景気に対して先行性があると言われています。その半導体株が、主要な株価指数に対して出遅れている現状を踏まえると、景気の先行きに対して若干の不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

 現在、市場は景気の軟着陸(ソフトランディングシナリオ)を織り込んでいますが、AIラリーが過熱しすぎていたため、半導体サイクルが下向きに転じるリスクもわずかに存在している可能性もあるでしょう。

 これらの点に、警戒心を持っておく必要があるのではないでしょうか。

次のページ:【不安2】半導体サイクルの先行指標、ISM製造業指数

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