糖尿病、脂質異常症、喫煙より2倍以上も心臓血管病による死亡リスクが高いとされる高血圧。心臓に起因する突然死を予防するために普段からできることはあるのか。シリーズ「名医が教える生活習慣病対策」、心臓外科医20年のキャリアを持つかかりつけ医であるフルタクリニックの古田豪記院長に、血圧管理の重要性を聞いた。【突然死を引き起こす生活習慣病のメカニズム・後編。前編から読む】
「血圧が130を越えたら治療しなければ」という誤解
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は血管にダメージを与える病気です。全身に張り巡らされた血管が障害を受けると、突然死に繋がる危険性は高くなります。
生活習慣病の中でも患者数が多いのが高血圧で、約4300万人と推計されています。実に3人に1人が高血圧で、そのうち約3100万人が管理不良でコントロール率はわずか27%です。1400万人は自分が高血圧であることの自覚がなく、450万人は自覚していながら治療を受けておらず、さらに1250万人が治療を受けていても管理不良です。
心臓血管病による死亡のリスク因子として高血圧は、糖尿病、脂質異常症、喫煙よりも2倍以上のリスクが高いという報告があります。つまり心臓に起因する突然死を予防するには、血圧管理がかなり重要なのです。
「高血圧治療ガイドライン2019」によると、日本人の血圧目標は130/80mmHgで、75歳以上は140/90mmHgとされています。世の中では血圧が130を越えたら、すぐに治療しなければ大変だと思っている方がいるかもしれませんが、それは誤解です。血圧130/80は高値血圧とカテゴリーされており、食生活や運動などの生活習慣の見直しでかなり改善されます。血圧140/90はI度高血圧、160/100はII度高血圧です。問題は血圧が1回でも180/110を超えた場合で、すぐに降圧剤を飲んで血圧を下げる必要があります。血圧180をこえるIII度高血圧の場合は、命に関わるイベントが起こる可能性もあるので一刻を争います。