近世フランスで「噴水」は、国王たちが巨費をかけて宮殿の庭園に設置したことで「権力と贅沢の象徴」となった。小池都知事が突如ぶち上げた巨大噴水計画には、物価高で苦しむ都民の血税が大量に流れ込むという。結局、贅沢三昧のフランス王は市民の怒りを買ってギロチン台に送られた。さて、小池都知事の噴水は、苦しむ市民の癒しになるのか、それとも、暴君の墓標となるのか。【前後編の前編】
「日本はもっと活気が必要だと思う」
11月14日まで「世界都市フォーラム」に出席するため、エジプト、UAE(アラブ首長国連邦)などを訪れていた小池百合子都知事が帰国後、定例会見で記者団に語った言葉だ。その言葉通りいま小池都知事は、ある壮大なプロジェクトを実行しようとしている。
「お台場海浜公園に、高さ150mに及ぶ世界最大級の噴水を建設する計画『ODAIBAファウンテン』(仮称)です。都の花であるソメイヨシノをモチーフにした幅約250mの噴水を組み合わせて整備。東京タワーなどの景観をバックに噴水ショーを展開するとしています。
9月に事業を発表し、11月上旬に総事業費26億円超という予算要求を計上しました」(全国紙記者)
建設の目的について都は、「臨海副都心の魅力をさらに引き出し、より一層の賑わいを創出」「東京の新たな魅力として国内外にアピール」としているが、維持管理費には年間1億5000万~2億円が見込まれるという試算もあり、都民からは「壮大なムダ遣い」と批判の声があがっている。 政治ジャーナリストの有馬晴海さんが言う。
「極めて小池さんらしい政策、事業だと思います。都庁でのプロジェクションマッピングも同様ですが、都民にとってどれだけメリットがあるかは不透明。観光振興と言いますが、それもどこまで効果があるかはわかりません」