国民の生活に直結する物価を調整するのは、日本銀行が持つ重要な機能の一つだ。インフレが止まらず、多くの庶民が負担増を強いられるなか、その日銀の職員は「最後の特権階級」とも言うべき、恵まれた好待遇を享受していた。日銀広報課によると、「常勤職員の令和5年度の年間給与額の平均は846.9万円」。実質年4回の職務手当があり、退職金も高額だが、好待遇はそれだけでは終わらない。【全3回の第3回】
雇用延長の面でも恵まれている。
日銀は2024年4月から60歳定年を2年ごとに1歳ずつ延長することを決め、60歳から新たな定年までは管理職を外れる役職定年を導入した。定年後は雇用延長制度で「エキスパート職員」として採用される。
元管理職の場合、エキスパート職員(専任職)の時給は最高4395円、「1日8時間、月10日勤務」で月給約35万円、フルタイムの月20日勤務なら月給約70万円になる計算なのだ。
日銀はかつて各地に広大な支店長役宅や運動場などを持ち、本誌などの批判を浴びて資産売却を進めているが、現在も東京・赤坂の勝海舟の屋敷跡に建ち、首相や海外の要人との会談に使われる「氷川分館」や、フレンチレストランがある六本木の迎賓施設「鳥居坂分館」、研修施設の「目黒分館」など多くの資産を保有している。
「鳥居坂分館は日銀OBも利用できます。予約すれば友人や家族とフレンチを味わえるし、接待にも使える」(日銀OB)というから、一部は職員やOBの福利厚生にも利用されていることがわかる。