「空き家」と聞くと、ひと昔前は過疎化が進む地方の問題と考えられていたが、昨今は都市部でも増加傾向にあり、社会問題化している。特に2025年は団塊の世代が後期高齢者となることで、空き家問題がより顕在化すると危惧されている。
「総務省の調査によると、2023年時点での全国の空き家の数は住宅全体の13.8%にあたる900万戸となり過去最高を記録しました。もっとも多いのが東京都で、次いで大阪府、神奈川県と大都市圏が目立ちます。住宅全体に占める空き家の割合としては地方が高い傾向にあり、今後さらに加速するでしょう」と懸念するのは、NPO法人日本空き家再生協会の副理事長である加藤久直さんだ。
「コロナ禍を経て、地方移住が進んだといわれますが、実際は大都市に人口が集中する流れは止まる気配がありません。『親が死んだら実家をどうすればいいか』と頭を抱える人は少なくありません」(加藤さん・以下同)
2024年の地価公示価格は前年度と比較して全国ベースで約2.3%上昇し、バブル期以来33年ぶりの伸びを見せた。2025年も地価上昇傾向は続く見込みだが、地方ではその“恩恵”を受けないケースも多い。「売りに出しても買い手がない」「解体費用の方が高くついた」という声は多く、“負動産”として放置されてしまうこともある。
そんな空き家を投資対象と考え、積極的に活用しようという動きもあるという。
「私が聞いた話では、築年数が50年前後の物件が人気で、100万~300万円程度で購入して同額程度のリフォーム費用をかけ、月額賃料を6万円以上に設定し、利回り15%以上を上げているケースもあるようです。自分の実家に活用の道がないかは、空き家の情報が掲載されている『空き家バンク』のサイトなどを参照するといいでしょう」
まずは活用の仕方を考え、どのようなリフォームを行うのが適切なのか、細かく検討する必要がある。賃貸、売却いずれの場合も住める仕様にしなければ無意味だ。空き家を活用する動きは盛り上がりを見せているといい、“負動産”と揶揄されてきた空き家事情が、2025年は一変するかもしれない。
※女性セブン2025年1月16・23日号