かつては正月の恒例行事だった年賀状のやり取り。しかし、新年の挨拶はSNSで済ませるケースも増え、年賀状の配達数は年々減少。日本郵便によると、2025年元日配達の年賀状は4億9100万通で、2024年の7億43000万通から1年で34%も減った。2024年に郵便料金が改定され、通常はがきが63円から85円に値上げされたことも影響してか、年賀状離れが一気に加速したのは事実だ。
一方で、高齢の人を中心に、いまなお毎年多数の年賀状を出している人もいる。
都内に住む会社員のAさん(40代男性)は、お正月に神奈川県にある実家に帰省した。そこで見たのは、83歳の父宛ての年賀状の束だった。
「50枚から60枚くらいの年賀状が父宛てに届いていました。私自身はもう何年も前に年賀状のやり取りをやめていて、ここ数年は1枚も届きません。だから、80歳を超えた父のもとに、今もたくさんの年賀状が届いていることにびっくりしました」(Aさん、以下「」内同)
Aさんの父は年金生活で、日常的に友人や親戚と交流しているわけではない。年賀状が、年に一度の近況報告の機会となっているのだ。
「父が年賀状のやり取りをしているのは、会社員時代の同僚や大学時代の同級生、あと中学や高校の同級生もいるそうです。なかには何十年も会っていない人もいるとのことですが、年賀状のやり取りをしているので、お互いに現状は把握しているそう。年賀状だけで何十年も交流し続けているなんて、すごいなと思います」