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藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

「4万円だった税金が128万円に?」iDeCo制度改正で受け取り時に税負担が増える可能性 最適な受け取り方をシミュレーション

iDeCoの改正のポイントは?

iDeCoの改正のポイントは?

 2024年末に2025年度税制改正大綱が決定し、iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の見直しが示された。その中で退職控除に関する変更も含まれており、iDeCoが“改悪”となるという声も見られた。どのような影響があり、どう対処すればよいか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第125回は、「iDeCo」の税制改正について。

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 2024年末、政府の2025年度税制改正大綱が発表されました。その中には、退職控除に関する変更が盛り込まれており、これは、“iDeCo(個人型確定拠出年金)の改悪ではないか”と世間がざわついています。

退職所得控除の制度変更のポイント

 実際、iDeCoに関する税制改正は、掛け金の上限引き上げや、加入年齢の引き上げなど、改善面もある一方で、iDeCoを一時金で受け取る際の退職所得控除の制度変更で、税負担が増えるかもしれないという改悪面があります。

 退職所得控除は、退職金やiDeCoの一時金を受け取るときに税金を安くするしくみです。控除額について、退職金の場合は勤続年数、iDeCoの場合は加入期間を使って計算します。勤続・加入1年あたり40万円、20年を超えた分は800万円に1年あたり70万円を加えて算出します。

 たとえば、退職金2000万円で、勤続年数30年の場合の退職所得控除額は、800万円+70万円×(30-20)=1500万円となります。現行のルールでは、退職金を受け取ってから、5年以上経過後にiDeCoを一時金で受け取れば、同じように退職所得控除が適応されます。しかし、改正後は、この間隔が10年に延長されるため、控除をフル活用するには、10年以上の間隔が必要になります。65歳で退職金を受け取る場合は、75歳以上になるのを待ってiDeCoの一時金を受け取らないといけません。もしくはiDeCoの一時金を60歳で受け取った場合は、70歳になるまで企業の退職金は受け取らないほうがいいということになります。

 一方、一時金や退職金の受け取りが後ろ倒しになると、そのお金を使わないままに人生を終えてしまう可能性もあります。

次のページ:一時金と年金の組み合わせで受け取る方法も

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