集合住宅では、駐車場の利用者を抽選で決めることがある。障害者や要介護者を優先するルールを採用する場合、どのような書類で証明すればいいのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
私が住んでいる団地では、毎年、居住者を対象に駐車場の区画を抽選で決めています。障害者は優先となる特権があるのですが、実際には障害者本人ではない家族が使用していることが判明。さらに、介護が必要な人も優先してほしいという意見もあります。
公正に駐車場の区画を決めるためには、どのような証明書を提出してもらえばよいですか。法的にアドバイスがあれば教えてください。(埼玉県・57才・主婦)
【回答】
駐車場法では、一定規模以上の新築建物に駐車場の付置を条例で義務付けることを認めています。各自治体の建築基準条例でもマンションの駐車場の付置義務を定めている場合があります。とはいえ、条例は延べ床面積や戸数に対応する駐車設備の数や区画の大きさを規制するだけで、その利用関係は団地の自治に任されています。
団地の敷地内にある駐車場は、団地建物所有者(各棟の区分所有者)の共有です。敷地については団地全体の区分所有者に適用される団地規約で、その管理方法が決められています。たいていは団地管理組合が場所を特定し駐車場として使用することを認め、区画が住戸数に不足している場合は、使用者の決定方法や有料の場合の金額などを、別途、使用細則を設け、詳細を規定しているケースが多いようです。使用細則では、駐車場に空きが出ると使用者を募集し、区分所有者やその賃借人等一定の資格のある者が応募します。応募者が空き区画数を上回れば抽選で決定し、当選者と団地の管理組合が使用契約を締結するのが普通です。
身体障害者(身障者)に優先を認めることも一般的です(その場合、車イス対応の広めの区画を身障者枠として通常区画と別に募集する例もありますが、ご質問では通常の区画について優先権があるようです)。