新NISAがスタートして1年。投資信託をはじめ様々な商品に投資する人が増えているなか、再び注目されているのが「株主優待銘柄」だ。優待銘柄の魅力と買い方のコツを、総資産8億円超の“億り人”に聞いた。
店舗での優待食事券が好評だったサイゼリヤやくら寿司が廃止するなど、一時期減少傾向が目立った「株主優待」。機関投資家や外国人株主にとってメリットが少ないことから下火になったとされていたが、ここにきて再び導入が廃止を上回る復調傾向にある。
日経新聞の報道によると、優待を新設した企業は2024年9月までの1年間で107件。同時期の廃止を21件上回り、5年ぶりに純増に転じたという。
消費生活アドバイザーの丸山晴美氏が語る。
「新NISAが始まり、企業は株主に長期保有してもらうことを目的の一つとして、優待の新設や拡充を進めています。個人投資家の側も、この物価高のなかで『株式を保有しつつ、生活を少しでも楽にしたい』と優待銘柄に注目する流れがある。企業と個人投資家側のニーズがうまくマッチしている状況です」
一定の株を保有する株主に対して、企業が年に1~2回ほど自社製品や金券などを贈る「株主優待」は日本独自の制度とされ、うまく活用すれば節約や生活の楽しみにもつながる。
どのように「優待銘柄」を選べばいいのか。株式投資で8億円超の資産を築いた元消防士のかんち氏は高配当株投資の達人として知られるが、優待株も300銘柄以上を保有する。
「近年は長期で継続保有すると優待内容が良くなるものが多く、たとえばネットセキュリティ関連のイー・ガーディアンは、1年以上保有すればもらえるQUOカードが5000円分から8000円分に増えます。業績も安定しているので長く持ち続けたい。そういう銘柄を選ぶことがセオリーです。
買い時の一つは、優待の権利確定後。手放す投資家が多くなるため、株価が安くなる傾向にあります。欲しい優待株のリストを作成しておいて、株価が下落したタイミングで購入する方法もあります」