悲嘆は微塵も見せず最後まで精力的だった森永卓郎さん
闘病中だった経済アナリストの森永卓郎さん(享年67)が1月28日に逝去した。2023年11月にすい臓がんのステージIVと診断(その後、原発不明がんと診断)された後も、精力的に活動した森永さん。死の間際でも悲嘆は微塵も見せず、堂々とモリタク流の死生観を貫いた。それは、生前整理においても同様だった。亡くなる直前に本誌・週刊ポストに寄せられた森永さんの言葉から振り返ってみよう。
遺骨はゴミと一緒に処分
「好きなことしかしない」という姿勢は、がん発覚後の生活でも貫かれた。
「私が決めたのは、好きな物を好きなだけ、何も気にせず食べること。アイスやケーキを間食でバンバン食べ、一日中、アメを舐めている。オクラやめかぶなどのネバネバ系も健康にいいとされるが嫌いだから口にしない。ラーメンやカルビ、豚バラブロックなど脂っこいものも好物で積極的に食べている。(中略)タバコはやめていない。今も1日20本以上吸う不健康なライフスタイルである」(週刊ポスト2025年2月7日号)
がん発覚後は生前整理も一気に進めた。数千冊の蔵書は希望する学生に譲り、残りは遺品整理業者に依頼。20台あったパソコンも処分した。頭を悩ませたのがおもちゃやミニカー、お菓子のおまけなど60種類以上、約12万点のコレクションを展示する『B宝館』の取り扱いだったが、これも家族の中で唯一コレクションに理解を示した次男が継承することが決まり、コレクターとしてけじめがついたという。
終活の最後に残る「人間関係の整理」について、森永さんはあえて「親しい友人を作らないようにしてきた」と手記で明かした。理由は、仲間を作ると自分の都合に相手を巻き込んだり、仲間の問題に自分が巻き込まれたりするのが嫌だったから。
「世の中には退職して初めて迎えた元旦に届いた年賀状が例年の10分の1に減ったことを嘆く人がいるが、そんなことは当たり前である。仕事つながりの人間は仕事の幕を閉じれば離れていくのが自然ではないか。死に向き合うのは孤独な作業で、誰かと共有しても意味がない――余命宣告を受けてますますそう確信した」(同号)
さらに自分の死後の始末についても、こう綴るのだった。
「葬儀も戒名も位牌も仏壇もいらない。遺骨はゴミとして一緒に廃棄処分してもらっても構わない。死んだら綺麗さっぱり消滅し、忘れ去られるものだという意識が日増しに強まっている」(同号)
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現在、マネーポストWEBでは、関連記事《【独占手記・全文公開】森永卓郎氏、がんステージIV「余命4か月」宣告でも精力的に生きられる秘訣 お金、健康、人間関係の整理…常識に囚われない心得を明かす》にて、森永さんの手記を全文公開している。資産整理、治療の様子、気の持ちよう、そして最愛の家族も含めた人間関係についてまで、がん宣告されてから亡くなる直前まで、森永さんがたどりついた考え方を詳細にレポートしている。
※週刊ポスト2025年2月14・21日号