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名医が教える生活習慣病対策

【生活習慣病と脳卒中の関係】脳梗塞発症後は「早い段階から体を動かす」リハビリが重要 人間ドックの「頸動脈エコー」で動脈硬化の進行もチェックできる【専門医が解説】

脳梗塞発症後のリハビリテーションが重要(杉村病院のリハビリテーションルーム)

脳梗塞発症後のリハビリテーションが重要(杉村病院のリハビリテーションルーム)

 生活習慣病の進行で繋がる脳卒中でも、とくに増加しているのが脳梗塞。脳梗塞発症後のリハビリの重要性が高まるなか、脳卒中のリスクを抑え、予防するためにはどうすればよいのか──。シリーズ「名医が教える生活習慣病対策」、杉村病院・杉村勇輔理事長が、生活習慣病と脳卒中の関係について解説する。【生活習慣病と脳卒中の関係・後編。前編から読む

脳梗塞発症後はできるだけ早くリハビリに取り組む

 脳梗塞を発症した場合、以前なら発症後しばらくは安静にした方が良いと言われていました。しかし現在は、できるだけ早い段階から体を動かすことが機能を保持するためには重要であるとわかり、リハビリテーションの重要性が高まっています。

 人間の身体は、使わないでいると不要なものと判断して機能が低下していきます。「廃用」と呼ばれる状態のことで、長期間安静が続き、筋力や心肺機能の低下、骨委縮、嚥下機能低下による誤嚥性肺炎、起立性低血圧、うつ状態、せん妄など、心身に様々な症状が起こる病態を廃用症候群と総称しています。発症後の安静の継続は廃用症候群に繋がるので、身体を維持するために必要な筋肉や臓器をできるだけ動かすことで予防する必要があります。

 私の病院では、早期から集中的にリハビリテーション治療を行なう「脳卒中(ストローク)ケアユニット(SCU)」を6床用意し、チームでリハビリ治療に当たっています。医師や看護師に加え、基本動作能力の維持回復をサポートする理学療法士、日常生活復帰に向けた訓練を行なう作業療法士、失語や言葉の指導をする言語療法士、食事面の指導をする管理栄養士などがチームを組み、患者さん一人ひとりに向き合います。

 リハビリテーションは最初の2~3か月で顕著に効果が表われるとされるため、いかに早い段階からリハビリに入るかがポイントになります。私の病院では、平均1日未満でリハビリに入ります。入院した日を0日とカウントするので、0.7日程度でリハビリが始まります。食事も同様で、食べることで腸管をしっかり動かすことが重要なポイントです。早期栄養供給に向けたカンファレンスを必ず実施し、総合的な管理を行なっています。

 早期にリハビリを開始しても回復に時間が掛かりそうな患者さんに対しては、褥瘡(じょくそう=床ずれ)を未然に防ぐために、皮膚科の医師も一緒に回診して治療に当たります。こうした試みによって、褥瘡の重症化が減っただけでなく、褥瘡患者数も減少傾向です。総合的なリハビリテーションによって、脳梗塞患者の生活復帰を後押しているのです。

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