迷信に振り回される人たちも少なくない(イメージ)
出生数が減り続ける日本。2016年に100万人を割ると、その後も数字はグングン減り続け、昨年はついに70万人を割り込んだ。そうしたなかで、さらに追い打ちをかけると懸念されるのが「丙午(ひのえうま)」だ。60年周期でめぐる干支の43番目にあたる丙午に生まれた女性は“気性が激しく、夫の命を縮める”という迷信があり、歴史的に産み控えをする傾向があった。
たとえば前回の丙午にあたる1966年の出生数。前年の約182万人から一挙に約136万人まで落ち込み、翌年はその反動で約193万人まで増えた。昨年12月には、国会で丙午対策を問う質問が登場したが、政府は「必要な対策を検討したい」と答えるに留まった。
迷信といえど、令和の時代にも気にする人たちはいる。目下翻弄されている“当事者”たちの声を聞いた。
祖父母の圧と妻の間で板挟み
兵庫県在住のTさん(20代/男性)は昨年10月に結婚、直後に長期出張を命じられ、自宅に帰るのは月1回程度。LINEやSkypeで妻とは頻繁に連絡を取っているが、悩みのタネは子作りだ。
「実家は昔ながらの旧家で、私はいわゆる跡取り。祖父母は健在で、2人とも丙午のことをすごく気にしているんです。もともと迷信やしきたりにこだわりがちなタイプで、そのうえ、私の母が丙午生まれでかなり気が強い人だということもあり、『丙午はやめろ』と。祖父には車を買ってもらったり、結婚式の費用を出してもらったり、散々可愛がってもらったので無下にはできません。
単身赴任は3月で終わりますが、 それ以降では“間に合わない”かもしれない。祖父母からは急かされていますが、妻は“子作りのために帰ってくるなんて恥ずかしすぎる”と乗り気ではなく、完全に板挟みです」