森永卓郎さんが考える「賢い買い物」術とは
1年3か月にわたるがん闘病の末、1月28日に逝去した経済アナリストの森永卓郎さん(享年67)。生前、数々の著書を上梓した森永さんだが、未発表の原稿があった。
本誌・週刊ポストが入手したその遺稿には、お金と仕事に対する深い洞察が綴られていた。本記事では、森永さんが書き遺した“ブランド”への洞察を紹介する。
値段が高い=上質ではない ブランド信仰から脱却する
世の中にはお金の本質を見誤り、例えば“高いブランド物は上質だ”と考える人が多い。だがそれは間違っていると森永さんは記す。
「ブランド物の服につけられている価格の90%以上は、素材のよさを反映したものではなく、実は『ブランド』そのものの価値だ。その証拠に、流行を過ぎたブランド物の服を古着屋に売りにいくと、安物の服と同じ『キロ10円』といった値段になってしまう」
ブランドを過剰に信仰することなく、生活の質を高めるために必要なのが、よいものを安く手に入れる「目利き」の能力である。
例えば現在は、フリマアプリを使えば、ブランド物のユーズド品を二束三文で手に入れられる。こうした賢い買い物ができる生活者を森永さんは尊敬する。
「以前、銀座のすき焼きの名店の経営者に聞いた話では、店に来た客が『牛丼』を注文すると、『こいつはできるな』と思うそうだ。すき焼きのコースと牛丼は、中身がほぼ一緒であるにもかかわらず、値段が3倍以上違うからだ」