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【借用地の原状回復】“前の借り主が放置していた廃材”の処理費用は誰が払うべきか? 実際の相談例をもとに弁護士が解説

誰が廃材を処分すべきなのか?(イラスト/大野文彰)

誰が廃材を処分すべきなのか?(イラスト/大野文彰)

 ある工務店が資材置き場として借りている土地に、前の借り主の廃材が置いたままだった場合、その廃材の処分は誰が行うべきなのか。そしてその費用は誰が支払うことになるのか──。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 家族で小さな工務店を営んでいます。資材置き場として借りていた土地の持ち主Aさんから、「土地を整備して返してほしい」と言われました。その土地は以前、工務店B社が使っていたもので、現在もB社の廃棄物が置かれたままです。

 土地の整備についてB社に相談したところ、「すでに廃業しているから関係ない」の一点張り。B社の廃棄物の処理代までうちで支払わないといけませんか。B社に支払ってもらう方法はありますか。(栃木県・58才・自営業女性)

【回答】
 借用地の範囲が問題となりますが、あなたがB社の借用地を引き継いで土地全体を借りたこと、及びAさんとの土地使用契約の終了については受け入れていることを前提とします。

 Aさんとの土地賃貸借契約が終われば、あなたは借用地から原状回復義務としてB社の残置物も含め、資材等の動産をすべて撤去して返す義務があります。

 そこで、B社の残置物を勝手に捨てられるかという点と、片付け費用を誰が負担するかが問題になります。

 前者は、B社が所有権を放棄すれば処分できますが、長期間放置されていたようですから廃棄物として扱うことはB社も認めるものと思います。その場合、廃棄物の処分は、廃棄物処理法で「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」とされているので、B社が行うべきことです。

次のページ:もしB社が残置物の所有権を放棄しない場合は?
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