2018年3月に高校を卒業した106万2000人のうち、現役で大学・短大に進学した割合は54.8%と、半数以上にのぼる(文部科学省『平成 30 年度学校基本調査速報』)。大学進学者が増加するなか、受験偏差値の低い大学は「Fランク大学」(Fラン大学)と呼ばれるようになり、「名前を書ければ入学できる」と揶揄されるほど、学生の学力低下が問題視されている。
こうした大学では、大学運営サイドが学力不足の学生たちを過剰に“おもてなし”して、なんとか卒業させようとしているという実態もあるようだ。関東地方のFラン大学に勤務する男性教員・Aさん(30代)が語る。
「私が勤務する大学は、入学式のあとに保護者説明会があります。この説明会では『お子様のご入学おめでとうございます』から始まり、『このように履修登録をします』『大学からの成績表はご自宅に送付します。届かない場合はお子様が親御さんに見せないように隠している可能性もあるので、注意してください』、『土曜日も大学があるので、土曜に外出しても、決してお子様が遊びに行っているとは思わないでください』などと説明をしなくてはならないのです。
これではまるで小学校の保護者会ですよね。説明会の後には『先生、うちの息子をどうぞ宜しくお願いします』、『公務員にさせたいので、そのようなプログラムがあれば教えてください』などと保護者が教員のもとに挨拶しにきます。これが低偏差値大学の実態で、毎年入学シーズンには虚しい気持ちになります」
今年度から都内の某Fラン大学に赴任した女性教員・Bさん(40代)も、それまで勤務していた大学と比べて、おもてなし過剰な大学運営に驚きを隠せないでいるという。