今年は5年に1度の年金の「財政検証」が行なわれる年だが、これまでの年金見直し議論の中で積み残された重要課題として、「第3号被保険者制度廃止」問題と「国民年金の加入延長」がある。
第3号については、パート主婦への厚生年金の適用を拡大することで保険料を払わせ、対象者を減らす戦略が急ピッチで進められているが、「未就業の専業主婦」については、新たに国民年金保険料を課す案や、夫の保険料追加、あるいは妻の年金額を半減する案が議論されてきた。
自民党が掲げる「勤労者皆社会保険」制度が実施されることになれば、最後に残る未就業の専業主婦の「第3号廃止」問題に結論が出る。
また、国民年金の満期加入期間を45年に延長し、65歳まで保険料を徴収する案も前回の財政検証からの継続案件となっており、「実施は時間の問題」とみられている。社会保険労務士の北山茂治氏が解説する。
「在職老齢年金の廃止に合わせて政府が進めようとしているのは、70歳以上やパートなどの厚生年金適用を拡大し、できるだけ多くの人に保険料を払わせることです。
保険料を多く払わせれば将来的に年金支給額を増やさざるを得ず、年金財政に負担がかかりますが、いまの年金制度は目先の保険料収入を増やさなければ年金を支払い続けることができない“自転車操業”に陥っている。そうして保険料を多く払わせた人が年金をもらう年齢になれば、支給開始年齢引き上げや年金カットと保険料アップをする可能性も否定できません」
※週刊ポスト2019年6月28日号